――ミア…カミア……カミア


俺を呼ぶのは誰だ…


カミア…


あぁ、そうか…


お前か…早く、早く我が元へ……




高いステンドグラスの天窓から差し込む光が、真っ白なシーツに幾重にも重なり、神秘的な模様を繰り返し創りあげている。


時折聞こえる鳥の囀りが朝の訪れをつげ、幸せな空間から少しずつ引きずり出される。


『またか…。』

いつになったら忘れられるのだろう。

一国の王とある者が、数年前の小さな傷痕を今だに修復できずにいる。


一体、俺の周りで何人の人が死んだ?


血の繋がりのある者が、何人殺された?


一体…何人この手で殺した?


最後の身内を殺された時の記憶さえ、今はもう、うっすらとしか思い出せずにいるのに――。


俺を呼ぶ声が、幻だとわかっていても苦しくて…

呼びかける声は、いつまでも優しい声のままで、年数を重ねても決して治癒しない…深い深い傷になっていく。


『忘れさせてくれっ』


小さく嗚咽を漏らすと、感情に飲み込まれないようと歯をくいしばった。


だが、頬を伝う涙はシーツを哀しみに濡れていく。


いつになれば、哀しみという呪縛に囚われなくても生きていけるのだろうと、自分に問いても、その糸口は一向に見つからないまま…


決して戻るはずのない時間を悔やみ、同じ場所でもがき苦しんでいた――。