離れて気がついたんだ。


こんなにも好きだったなんて。


寂しくて仕方ない。

一緒にいるのに、どこかよそよそしくて。


触れたいのに、触れる事は許されないという気持ちが、俺を支配する…。


購買でパン二つ買って、教室に帰ろうとしたら、ジュースを持った江利子に逢った。


「おう。」

そう言って手を挙げた。


「よっ。あれ?一也がパンなんて珍しいねぇ。」


パンを持つ俺の手に視線を移した。


「ああ、今日お袋が風邪ひいて寝込んでるから…。」


「そか…大変だね。大丈夫なの?」


「大丈夫だろ。体が丈夫なだけが取り柄な人だから。」


歩きながら、他愛もない話しをした。