その日は、翔のバーで遅くまで飲んでいた。



美香もバイトを終え、一緒に飲んでいた。



「ねぇ、慶次~退屈じゃない?」



美香は俺に聞きながら、指で肩をつついてきた。


俺は首を振ると、あくびをしながら……



「バカか?退屈だからここに居るんだろ?」



そう言うと翔は、俺に言った。



「あくびなんかして……退屈なんだろ?それよりかは、たまにはマグナムさん所にでも顔を出せよ?俺も今日は閉めてから行くから?」



なんで、マグナムさんなんだよ~と思いながらも、立ち上る。



久しぶりに行くかな……



マグナムさんは、俺達の飲み屋街にある『隠れ家』のマスターだった。



俺は、美香と隠れ家に行くと、なかなかの人数が入っていた。



大概は知ってる顔で、軽く手を挙げるとみんな話し掛けてきた。



挨拶がわりにみんなと少し話してから、カウンターに座った。



マスターは、太っているが、筋肉質でヒゲを生やし、まさにダンディーって感じだった。