日が落ちて電気なんてないこの村は、時間がたつにつれて闇にのまれていく。
いつもと違うのは村の中で一番大きな家が、そこだけ祭りのように賑やかなことだ。
もうすぐ、もうすぐ終わる。私の時は止まっちゃうんだ。
恐いのに、悲しいのに…なんでこんなに落ち着けるんだろう。
暗くなる頃には準備が終わっていた私はこの村に来て初めてのきれいな部屋にいた。
きれいといっても、コンクリートみたいな壁に囲まれて窓には鉄格子、部屋の隅に椅子が1つだけだ。
私は椅子の反対側の隅に座り込み、外された手枷の痕を眺めていた。
たぶん、お姉ちゃんはもういない。私ももうすぐお姉ちゃんの所へ行ける…。
あぁ、だからこんなに落ち着けるんだ。もう、痛い思いも、辛い思いもしなくていいから……。
(…実梨…‥生きて‥)
