「そっか。迷子だったんだね。じゃーお家の人とか心配してるよね。」
えっ……そうだね…たぶん心配してるよ。
「チッ、面倒だな…。おい、凛。家まで送ってやれ。」
舌打ちされたよ、私。
なにやら目で合図を送りあっている。凛はコクンと一つ頷いた。
「いいです、いいです。今はまだ日が高いから帰れますよ。」
一緒だったら逃げられない。それに凛さんに嘘つきたくないよ…
「私ならいくらでも時間空いてるし気にしないで。お家の人心配してると思うし早く帰りたいでしょ?」
そこまで言われると断り辛い……仕方ない、のかな…もう、なんでもいいや…
「じゃー、お言葉に甘えて…お願いします。」
最後くらい飛び切りの笑顔で。
「じゃ、行こうか。」
「はい。」
これでバイバイだね。たぶん神様がくれた最後のプレゼント。こんなにいい人達に遇わせてくれて嬉しいけど…やっぱりひどいって思っちゃうよ。
村の入り口に着くまでの間、たくさん、たくさん話した。凛さんは本当にやさしくて、笑い話なのに涙が出そうになった。
