お願いしたあと、部屋の隅にあった椅子のような岩に座り背中を向けた。
「ちぇ、何で凛はいいんだよ。」
この人凛さんって言うんだ…名前まで綺麗だな。てか炎陽くんの口調が変わって来てる気がする………まぁ、思い違いかな。
「あ〜…痣になってるね。大分強く打ち付けたでしょ…腕、挙がらないんじゃない?」
「…………、っ痛。挙がらないです。」
地面に勢いよく打ち付けたのに無理して登ろうとしたからかな……でも、誰だってあの状況になったら出ようとするよね…
「はい、終わり。無茶したでしょ、こんなに腫らして……安静にしてなさいよ。」
なんとなく落ちた時のことを思い出しているうちに手当ては終わっていた。そんなに腫れているのか少し呆れ口調で言われたけど、なんか嬉しかった。
「……お姉ちゃんみたい…」
「あら、嬉しいこと言うじゃない。」
凛さんは本当のお姉ちゃんじゃない……もちろん、そう。でも…あのやさしく触れる手とか冗談めかして言う言葉の中にあるやさしさとかそっくり…
まだ会って数十分なんだけどね…
なんか今日は嬉しいことだらけだな……
