この空の彼方

「政隆様は武術に秀でたお方なのですね!」



尊敬の眼差しが政隆に注がれる。



「いやぁ、昔の話です、お恥ずかしい。」



政隆は照れて顔を赤くした。



「いつか、お手並み拝見させていただけたらいいですね。」


「あぁ、ご存知ありませんでしたか?
この屋敷で半年に一回、武術大会が行われるんですよ。」


「本当ですか!?」


「ええ、この秋人も参加しています。」



芦多は灯世がこんなに嬉しそうに笑ったのを初めてみた。



嬉しそうに芦多を仰ぎ見る。



「頑張ってくださいね!
応援します!」



今にも飛び跳ねそうな勢いだ。



「灯世はみに来れるのか?」


「…さぁ。
でも、何とか頼み込んでみます。」



そうか、灯世に微笑みかける。



照れたように、灯世も微笑んだ。



「多分、灯世殿は嫌でもみに来なくてはならんぞ。」


「え?」



灯世と芦多は揃って政隆をみる。



「今回は辰之助様も出場なさると聞き及んだ。」


「まさか。」



思わず芦多は呟いた。



政隆の苦笑いする。



灯世だけがわけがわからず二人を見上げた。