この空の彼方

「悪かった。」


「何がです?」



疲労の色が濃い声色で、灯世が問う。



「一人、力を使わせた。」



すると、灯世は優しく微笑んだ。



「今、力を使わずに、いつ使うんですか。
さっきくらいしか、私が役に立てる時はありません。」



そんなことはない。



いつものように、そうしようとして、芦多は口を開いた。



途端、横に突き飛ばされた。



え?



内心、首を傾げる。



倒れていく景色が、やけにゆっくりだ。



恐怖に強張った顔の灯世が見える。



そして、そこに蛇儒が突っ込んでいくのも。



その左手は不気味に青白く光っていた。



その手が、灯世の胸に触れる。



蛇儒の顔も、強張って見えた。



何なんだ、どうなっている。



混乱している頭に、痛みだけが伝わってきた。



身体が、地面に倒れたのだ。



視界が90度変わって見える。



灯世が視界の反対側に倒れていくのが見えた。



灯世?