この空の彼方

「守ってやる。
八重も、一緒に。
わしの、下につけ。」



芦多は立ち上がって、灯世を奪い取った。



「灯世、しっかりしろ、わかっているだろう。」


「…芦多様。」



灯世は目をぎゅっとつむった。



「安心しろ、屋敷に帰っても、極力会いに行く。
な?」


「はい。」



腕の中で、灯世は苦しそうに頷いた。



芦多は蛇儒を射るように睨む。



一番弱いところを突きにくるなんて。



蛇儒は、忌々しげに芦多を見返した。



「いつも、いつもいつも、お前らはわしの邪魔をする。」



芦多は首をかしげた。



いつも?



会ったのはこれで二度目のはずだが。



「わしから、いつも奪っていく。」



何を。



説明を求めて、灯世をみるが、彼女も怪訝な顔をしている。



芦多は蛇儒に視線を戻した。



「八重も、姫もわしから去っていく。」


「…私は蛇儒のそばにいた記憶はありませんけど。」


「ああ。
どういう意味だ?」



さあ?と灯世は首を傾げる。



その間にも、蛇儒はぶつぶつと何か呟いていた。



「なんか、怖いですね。」


「ああ。
異常な気配が…。」