この空の彼方

「もし、戦が終わったら、俺達はどうなるんだろうな。」



一人が、ぽつりと言った。



一気に雰囲気が変わる。



灯世が哀しそうに顔を曇らせた。



「私が辰之助様に型制度の廃止を進言してみます。」



一斉に、灯世に注目が集まる。



「みなさんが屋敷を出て、新しい生活を始められるといいんですけど…。」


「お優しい方だなぁ。」



ふわりと男は笑った。



「そんなことがあれば、いいなぁ。」


「俺は、故郷探しの旅に出るぞ。」


「俺は、海とやらが見たい。
大きいんだそうだ。」



みんなめいめいに夢を語る。



芦多は黙ってそれを聞いていた。



やりたいこと、か。



私は考えたこともなかったな。



親があったほうがいいとは思ったことがかったが、探そうとは思わなかった。



芦多は手掛かりがあるほうでもなかったし、記憶があるわけでもない。



白柄彦のように、故郷に帰れるはずがなかった。



「皆さん、そうなればいいですね。」



ぽつり、と。



灯世が言う。



横顔が寂しげだった。



芦多は黙って、肩を抱いた。



「きっと、そうなる日が来るさ。」


「星に願います。」



皆さん、幸せに暮らせますように。



灯世が手を組んで祈った。



灯世の膝に寝ていた利都が、身動きをした。