この空の彼方




自分の隊の野営地に戻ると、もうすっかり日は暮れていた。



思ったより時間をくったな、と反省する。



輝を部下に預け、芦多は天幕に戻った。



重い装備を外す。



芦多は太刀だけを腰に佩くと、天幕から出た。



「お帰りなさい、隊長!」



ふいに、何かに抱きつかれた。



不意を突かれて、体制を崩す。



見ると利都だった。



「芦多様、今の敵なら死んでますよ。」



食料を抱えて前を横切った敦賀がふふんと笑った。



「うるさいぞ。」



噛み付いても素知らぬ顔。



芦多は唸って利都を引き剥がした。



「お前は何をするんだ。」


「だって。
最近隊長、かまってくれないんだもの。」



当たり前だ。



どうして戦中に子どもにかまう余裕がある。



馬鹿め、と突き放して歩き出すが、利都は芦多の後ろをついてきた。



「隊長、もうすぐ夕飯が出来るんだ。」


「夕飯?
手伝ったのか?」


「うん!」



待ってましたとばかりに利都の顔が輝く。



しまったと芦多は内心頭を抱えた。