この空の彼方



***



「今夜はここで野宿かな。」



ぼそりと後ろで型の後輩が呟いた。



そうだな、と芦多も頷く。



だいぶ暗くなってきたし、平地もちょうど見つかった。



ここらで足を止めたほうがいいだろう。



四隊が留まるのに支障はない程度に広い。



芦多は合図を出して足を止めた。



「伝令。」



呼ぶと、まだ少年と呼ぶに相応しい兵が走り出てきた。



「ここらで野宿すると伝えてくれ。」



律儀に復唱し、少年は駆けていく。



利都は不服そうに口を尖らせた。



「僕だって出来た。」


「馬鹿。」



さっきから散々煩わされてきたので、芦多の返事は端的かつ容赦がなかった。



ふんと鼻を鳴らして、芦多は声を張り上げた。



「用意しろ!」



何十人もの男の声が発され、大音量の返事が返ってきた。



こんなに大勢の部下を指揮するのは初めてで、芦多は少々面食らった。



「隊長、どの辺までこの隊の陣地ですかね。」



話し掛けてきた部下を振り返り、芦多は平地を見渡す。



「うーん。
四等分して…だいたい、あの木の辺りだな。」


「はい。」



頼もしい返事をし、彼は仲間に指示するために身を翻した。



今頃、灯世ははどうしているのだろう。



疲れているだろうな。



苦しくはないだろうか。



馬に乗れればいいのだが、食料も減っていない今、そうはいかないだろう。



連れてきていた輝を手近な木に括り、芦多は後列のほうに目をやった。



見えるのは、延々に人、人、人。



大規模な軍の兵が見渡す限りに。