この空の彼方




***



なんだか前の方が騒がしい。



笑い声が届いてきて、灯世は首を傾げた。



笑える雰囲気ではないはずなのに。



「芦多の隊だねぇ。」



爪鷹も不思議そうだ。



「あの人、なにやってんだろね。」



爪鷹の物言いに、灯世はくすくすと笑った。



そして、後ろの方に遠ざかっていく屋敷を振り返る。



まだ少ししか歩いていないのに、初めて砂利道を歩く灯世にはもうだいぶ歩いたように感じられた。



しかも、歩く速度が速いのだ。



爪鷹は涼しい顔をしているが、正直灯世にはきつかった。



何故誰も弱音を吐かないのだろう。



歩兵などは重い鎧を身に着けている。



爪鷹は軽装備だからいいとしても、彼らにはつらいはずだった。



甘かった。



屋敷の中しか知らない灯世が、芦多についていけるわけがない。



まだまだ自分は何もわかっていない。



密かにため息をつく。



自分に失望したが、闘志が燃える。



もっと、もっともっと、芦多に追いつきたい。



灯世は脚に力を込めた。



が、足の裏が痛い。



砂利道を歩くのに慣れていない脚が憎かった。



「灯世、大丈夫?」


「はい。」



爪鷹が心配そうに灯世を覗き込んでいる。



慌てて灯世は笑顔を見せた。



「疲れたら言って?
きっと灯世にはつらいってわかってるから。
遠慮しないでね。」


「はい…。」



爪鷹は笑って灯世の肩に手を置いた。



その仕草が、少しぎこちない。



きっと、私を安心させるために慣れないことをしてくださったんだ。