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辰太郎からのありがたいお言葉を頂戴したあと、隊は列を組んで行進しながら屋敷を出発した。
一番隊なので、芦多が先頭だ。
なるべく姿勢よく、芦多は歩を進めた。
「隊長、頑張りましょうね。」
ひょっこりと、利都が芦多の横に姿を現した。
芦多は仰天して、思わず足を止めかけた。
「何をしている!?」
まだ隊に入るには若すぎる年頃だ。
「参謀を仰せつかりました。」
慣れない言葉をたどたどしく使い、利都は精一杯胸を張る。
対称に、芦多は顔を曇らせた。
参謀?
こんな小さな子に?
どう考えても無理がある。
「利都、お前、誰に言われた?」
「辰太郎様じきじきに。」
誇らしげだ。
…確かに子どもだと見つかる可能性は低いし、殺される可能性もほんのわずかに低くなる。
だが、いくら用無しになったからといって駒のように戦場に送り込まなくても。
「どこの隊だ?」
「隊長の!」
いつもは小憎たらしいのに、今日はやけに素直だ。
浮かれすぎだろう、と芦多はため息をつく。
「駄目だ。
直談判してお前を外す。」
死なせるわけにはいかない。
再び前を向いた芦多の脚に、利都は絡まりついた。
「嫌だ!
初めてのお役目なんだ!」
とうに言葉遣いを改めるのはやめたらしい。
ぎゃあぎゃあと喚き散らす。
後ろのほうからなんだなんだと兵達が首を伸ばした。
「いい加減にしろ。
お前はまだ力不足だ。」
「そんなことない!
ずっと訓練してきたじゃないか!」
こいつ、こんな奴だったか?
何事にも興味のなさそうな悪餓鬼だったように思うが。


