この空の彼方

「でもいいや。
これからは俺のほうが灯世と一緒にいられるもんね。」



その言葉に固まる。



爪鷹を睨んだ。



ハッと気付いた爪鷹が慌てて芦多を宥める。



「悪い悪い!
そういうつもりじゃないんだよ!?
勿論、灯世を芦多から盗るつもりなんかないからね!」



手を振って一生懸命に言い訳する。



……畜生。 



内心、爪鷹がうらやましくてたまらない。



灯世とこれから行動を共にするのだ。



…行けるなら芦多が二番隊に行きたい。 



正直、自分は頭脳派でもやっていけると思う。



芦多は恨みがましく灯世をみた。



何とか今からでも配属が変更にはならないか。



と、灯世と目が合った。



芦多が手振りで綺麗だ、と示すと、灯世は遠目でもわかるほど頬を赤らめた。



可愛い…。



昨晩の出来事が思い出される。



昨日は私の腕の中だったのに…。



駄目だ!



芦多はぶるぶると頭を振った。



今から出陣だ。



どうしてこの葬式のような空気の中、余裕でそんなことを考えられるのだろう。



灯世はいつまでたっても芦多を狂わせる。



……それほど愛しくてたまらないのだが。  



朝の空気の冷たさも、芦多の目を覚まさせる威力を持ち合わせてはいなかった。