この空の彼方

「すまない。」


「思ってないでしょう?」



呆れたように言って、灯世は手早く帯を結んだ。



艶かしく露出されていた脚が、着物の裾に包まれる。



きっちりと肌を隠すと、灯世は芦多の隣に腰をおろした。



「芦多様は着替えないのですか?」



芦多は布団に寝転がり、下半身に布団をかけた状態だ。



灯世はつんつんと芦多の腹筋をつつく。



「硬いですね。」


「それは、筋肉だからな。」



灯世の柔らかな身体とは違う。



次いで、灯世は自分の腹を触ってみる。



顔を歪めた。



「比べるものではないですね。」



「ははっ、当たり前だ。
だいたい、男と女では身体のつくりからして違うだろう。」



よっ、と起き上がる。



着替えよう。



立ち上がろうとすると、灯世が慌てて顔を覆った。



「なんだ。」



笑いを含んだ声で話しかけると、灯世は動揺した声で言った。



「立ち上がるのなら、そうと言ってください!」



芦多は堪えきれずに吹き出した。



まったく、可愛いったらない。



かといって、平然とされていたら芦多が恥ずかしいのだが。