この空の彼方




***



汗が、たらりと背中を伝う。



下の灯世の額にも、水滴が浮いていた。



それを指で拭う。



灯世はギュッと目を閉じている。



つらいのか、苦しいのか…。



芦多は灯世の頬に手を当てる。



灯世はゆっくり目を開けた。



「大丈夫か?」


「ん…ッ。」



懸命に、灯世は頷く。



愛しかった。



今までの女がこんな顔をしても、気持ち悪いとしか思わなかったが、灯世は違う。



恥ずかしいと言って、声を我慢するところも、一定間隔で芦多にしがみつくところも。



可愛くて仕方がなかった。



こんなにも自分が灯世に溺れていっていることに驚いた。



灯世が唇の隙間から押し出すような、声を上げた。



もっと、聞きたいと思った。



灯世は聞かれるのは恥ずかしいと言ったが、自分にしか聞くことの出来ない声を聞かせてもらえるのは嬉しい。



芦多は灯世が苦しそうに目を閉じるたび、頭を撫でた。



そうすると安心するらしいと、既に学んでいたのだ。



「灯世…。」



我慢できなくなって、唇をつける。



芦多は芦多で、一定間隔の間に灯世に口付けたくなってしまう。



今度も例外でなかった。














今夜ほど、幸せな夜はなかなかないだろう。