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汗が、たらりと背中を伝う。
下の灯世の額にも、水滴が浮いていた。
それを指で拭う。
灯世はギュッと目を閉じている。
つらいのか、苦しいのか…。
芦多は灯世の頬に手を当てる。
灯世はゆっくり目を開けた。
「大丈夫か?」
「ん…ッ。」
懸命に、灯世は頷く。
愛しかった。
今までの女がこんな顔をしても、気持ち悪いとしか思わなかったが、灯世は違う。
恥ずかしいと言って、声を我慢するところも、一定間隔で芦多にしがみつくところも。
可愛くて仕方がなかった。
こんなにも自分が灯世に溺れていっていることに驚いた。
灯世が唇の隙間から押し出すような、声を上げた。
もっと、聞きたいと思った。
灯世は聞かれるのは恥ずかしいと言ったが、自分にしか聞くことの出来ない声を聞かせてもらえるのは嬉しい。
芦多は灯世が苦しそうに目を閉じるたび、頭を撫でた。
そうすると安心するらしいと、既に学んでいたのだ。
「灯世…。」
我慢できなくなって、唇をつける。
芦多は芦多で、一定間隔の間に灯世に口付けたくなってしまう。
今度も例外でなかった。
今夜ほど、幸せな夜はなかなかないだろう。


