この空の彼方

「それに、私のほうこそ謝りたい。
勢いに任せて、灯世に酷い事を言ってしまった。」



なんのことか、すぐにわかった。



「確かに、灯世を無理矢理抱いた男は憎いし、根に持っている。
だが、灯世に怒っているわけではないんだ。」


「わかってます。
すいません、私も取り乱して…。」



本心なのかと、怖かった。



だがよく考えれば、ここまで灯世に優しくしてくれる芦多を疑いようがない。



「おあいこだ、な。」



芦多の言葉に、頷く。



反省しなければ。



少しでも、疑ってしまった。



芦多のことになると、より一層不安になる。



もし、自分のもとを去られたらと思うと、別人になったかのように感情が高ぶるのだ。



「灯世。」



呼ばれて顔を上げると、不意打ちの口付け。



わだかまりがとけた瞬間だ。



灯世もこたえた。



もっと、傍にいきたい。



ずっと繋がっていたい。



ずっと、芦多を感じていたかった。



首に腕を回す。



精一杯、芦多に抱きついた。



気配で、芦多が笑っているのがわかった。



「なんだかさっきから積極的だな。」



芦多は身体離し、灯世を見た。



悪戯に、目が光っている。



「もう、今度こそ…。」



今度こそ?



その先は聞けなかった。