この空の彼方

…あんなこと、訊かなければよかった。



せっかく初めて二人で一緒に過ごせる夜だったのに。



壊してしまった。



好きなのに。



愛しているのに。



興味本位でした質問で、彼を困らせた。



突然、肩に誰かの手が乗った。



声にならない悲鳴を上げ、灯世は尻餅をついた。



バクバクと心臓が音を立てる。



「灯世。」



見上げると、芦多だった。



心配そうにかがんで、灯世を見ている。



「芦多様…。」



灯世はへたりと地面に崩れた。



よかった、芦多様だった。



知らない人間ならどうしようかと思った。



「来い。」



やや乱暴に、灯世は引っ張り上げられた。



ああ、やっぱり怒っている。



芦多の歩く速度に必死であわせながら、灯世は思った。



自分は取り返しのつかないことをしてしまったんだろうか。



部屋に入ると、芦多は「座れ」と険のある声で言い、灯世を座らせた。



「さっき、自分がどういう目に遭ったのか忘れたのか!?
こんな夜中に、一人で飛び出していくなんて、自殺行為に近いぞ!
しかも、裸足で!
なにかあったらどうするつもりだ!?」



声を荒げ、芦多は部屋を行ったり来たりする。



「どうしてお前は私の寿命を縮める!」



肩をつかまれ、揺さぶられた。



怖い、そう感じた。



「ごめんなさい…。」


「謝るくらいなら無謀な行動は謹んでくれ。」



憤然と言い放ち、芦多は灯世を突き放すようにして離した。