この空の彼方

今夜は二人ともおかしかった。



灯世も芦多を求めたし、また芦多もいつもは灯世を気遣って自分で制止をかけるのだが、それがなかった。



芦多の手が、灯世の浴衣にかかる。



「……いいか?」



張り裂けそうなくらい、心臓が鼓動する。



「……この間、邪魔されなければ最後までいってましたよね?」



なら、今夜の返事だって…。



「いいのか?
もし、躊躇いがあるなら…。」



灯世は勢いよく芦多に口付けた。



これが、返事だ。



「今まで積極的だったのに、どうして今になってひよるんですか。」



唇が離れた瞬間に、言葉を吐き出す。



その先も続けようと思ったのだが、芦多は姫灯世の口をふさいだ。



灯世の口から悲鳴ともとれる声が漏れる。



さっきので腰の引けた灯世を散々喘がせ、芦多は不敵に笑った。



「最終確認だ。」



もう一度口付け、



「もう知らない、途中でやめないぞ。」



脅しまでした。



何も言えない。



止めると言う暇もないほどに、芦多は灯世に息をつがせなかった。



胸を叩いて、休息を要求する。



やっと芦多は身体を起こした。



「もう…。」



息をつき、芦多を見上げる。



さっきから思っていたのだが、



「芦多様はこういうのは経験あるのですか?」



芦多が首を傾げる。



「前にも、女性とこういうこと…。」



芦多は灯世の言わんとしていることがわかったらしく、憤然と言った。



「ない。」



芦多は身体を起こした。



「灯世にそんなことを言われるのは心外だ。
わかってくれていると思っていたのに。」