この空の彼方

男三人、という言葉から連想しないわけではなかった。



「…恐かったな。」



灯世は泣きながら頷く。



「恐かった!
痛かった、気持ち悪かった!」



悲鳴のように吐き出される。



もう、灯世はボロボロだ。



芦多は精一杯灯世を抱き締める。



二人はもう始末した。



残る房姫の付き人は、じっくりと…。



芦多は灯世の泣き声で我に返った。



優しく囁く。




「帰ろう。
爪鷹が言った通り、今夜は私の部屋に泊まれ。」


「嫌です。」


「え?」



灯世は震える声で言った。



「あそこに帰りたくない…。」


「…私はいいが、野宿になるぞ。」


「野宿でいいの、傍にいて?」



芦多は頷いた。



ただ、野宿は頂けない。



大抵、国民は灯世の顔を知らない。



宿でも借りるか。



「行くぞ、灯世。
立てるか?」


「…んッ。」



灯世は精一杯足を踏張るが、力が入らないらしい。



へにょりと腰が落ちた。



「仕方ないなぁ。」



笑って、芦多は灯世を抱き上げる。



「力を抜け。」



額に唇を落とすと、灯世はようやく笑った。