この空の彼方

「来ないでください!」



来るなも何も、芦多は身体が動かない。



耶粗の隣に立ったまま、灯世を見つめた。



「灯世、芦多だよ?
芦多の方が安心するでしょ?」



ところが、灯世は勢いよく頭を振った。



「見られたくない…!」



悲痛な声。



爪鷹は言葉が見つからず、押し黙った。



向こうではまだ千歳が男と取っ組み合っている。



ちらりと芦多はそれを見やり、歩き出した。



「お、おいッ。」



太刀に手をかけた芦多を見て、耶粗は声を上げた。



爪鷹も灯世を置いて追い掛けてきた。



止めるのかと思い振り返ると、爪鷹は芦多のもう片方の手に自分の刀を握らせた。



「どうせ駄目って言っても聞かないだろ。
ならそこら辺に隠れてるあの男の仲間も始末してきてよ。」



灯世を見てるから、と爪鷹は一度芦多の肩を叩いて戻っていった。



千歳の方に向き直る。



芦多は太刀を抜いて走りだした。