この空の彼方

「もし、今の間に崖から落ちて怪我してたら?
お前がぐずついてる間に灯世に致命傷負わせてたら?
心配なのはみんな一緒だ、動けよ芦多。」



そうだそうだ、と耶粗が芦多を持ち上げる。



芦多は精一杯脚に力を入れた。



「そうだな、私がこんなところで落ち込んでても仕方ない。」


「そうだぞ、頑張れ。」



白柄彦は先にたって、外に出た。



外ではなんと、政隆と琿坐が待っていた。



馬の腹帯を締めている。



「政隆…。」


「馬の都合上わしは行けんが…。
必ず連れ帰って来い。」



隣では千歳が琿坐と話している。



真剣な顔つきだ。



なんて自分は情けなかったんだろう。



「まったく、しっかりせい。
お前は本当に灯世殿のことになると腰抜けになるな。」


「うるさいぞ。」



顔を赤くする芦多を励ますように一度叩き、政隆は馬を叩いた。



「乗れ。
脚は速いぞ。」


「ありがとう。」


「うむ。」



芦多は鐙に足をかけ、馬に跨った。



「行くぞ。」



灯世の行き先を掴んでいるらしい爪鷹が先頭に立った。



その後に千歳と耶粗も続く。



四人は政隆、琿坐、白柄彦に見送られ、馬を駆った。