この空の彼方




***



夜になっても、灯世が帰ってこなかった。



騒ぐ辰之助の言葉を聞いて、芦多は気を失いかけた。



千歳に支えられなかったら本当に倒れるところだった。



房姫と、山?



どう考えても危なすぎる。



逆に無事に帰ってくるほうがおかしいくらいだ。



どうして、どうして山なんかに行くんだ…ッ!



呼吸が荒くなる。



息を吸うのが苦しい。



「芦多、しっかりしろ。」



爪鷹が芦多を揺さぶる。



それでも芦多の焦点は合わなかった。



「駄目だ、芦多。
しっかりしろって。」



芦多は頭を抱えた。



何も考えられない。



襲ってくるのは恐怖だ。



房姫はもうお付きと一緒にとっくに帰ってきているのに、灯世だけが行方不明だ。



絶対おかしい。



もしかしたら、もう…。



最悪の事態が頭に浮かぶ。