この空の彼方

傾斜が下りるときになると余計急勾配に感じられる。



転がり落ちるかもしれないという恐怖から速度が鈍った。



そうしている間に男達はどんどん近づいてくる。



空が曇って、視界が悪い。



運の悪い事に雨まで降り出した。



雨粒が強く灯世の頬を打つ。



着てきた着物は瞬く間にびしょぬれになった。



「きゃあっ!?」



いきなり腕を掴まれ、身体が反転する。



と思ったら引きずられ地面に手をついた。



「なんなんですか!?」



答えない男達が怖い。



後ろにいるのは、さっきまで房姫の後ろにいた付き人だった。



そういうこと。



灯世は血の気が引いていくのを感じた。



今度は私が消されるのね。



計算ずくなんだわ。



だいたい、房姫が灯世を誘うところからして怪しかった。



でも、どうして辰之助に行き先を教えさせたんだろう。



そこが疑問だった。



でも今はそんなことを悠長に考えている暇などない。



灯世は力一杯抵抗した。



襟首をつかまれ、地面に打ち付けられる。