この空の彼方

自分は何をしているんだろう。



直接手を下してはいないが、息子を殺した姫と山にいる。



いつからか、仕返ししてやろうという気は失せた。



そこが成長した点だろうか。



でも、芦多がいなかったら…。



きっと今頃灯世の首は飛んでいた。



その点でも芦多に感謝だ。



と、ガサガサっと音がした。



房姫達が戻ってきたのかと思い腰を上げる。



藪に目を凝らすと、見えてきた影は大きかった。



あれ、と不審に思う。



どんどんと近づいてくる影は、三つだった。



手に手に、棍棒のようなものを持っている。



猟師か何かかと思っていたが、その目は灯世に向けられている。



爛々と光ってみえた。



「え…?」



何か、危ないと感じた。



本能が逃げろと叫ぶ。



灯世は登ってきた道を引き返した。



足音が追ってくる。



嫌だ、狙いは自分だ!



足場の悪い道を必死で走る。