この空の彼方

「何を知っているというんだ?」


「型のことです。」



芦多は頭が真っ白になった。



知っていた?



いつから?



初めて会ったときか?



再会したときか?



私がいない間か?



帰ってきてからか?



いつから知りながら私の隣にいた!?



数歩後退る。



「芦多様。」



慌てたように、灯世が手を伸ばす。



芦多はその手を振り払った。



「触るな!」



灯世の傷ついた顔。



いつもならそれで正気に戻るのに、今日は混乱していた。



「どういうことだ!?
いつから知っていた!?」


「芦多様…。」


「どうして…。」



駄目だ。



何も考えられない。



呼吸が荒くなる。



「芦多様、聞いてください。」



灯世が近寄る。



さらに後退ろうとするが、身体が動かなかった。



「大丈夫ですか?」



過呼吸になった芦多の背中をさする。



芦多は灯世の着物をすがりつくように掴んだ。