この空の彼方

「で、どんな子だ?」



政隆がわくわくとして言った。



「お前似か、それとも母親似か?」


「うーん、わからないな。
まだ猿みたいだ。
でも、敢えて言うなら、俺に似ているかな。」



嬉しそうに白柄彦は笑った。



今まで見たことのない顔。



すごく幸せそうだった。



…これが、子どもをもつ者の顔。



胸が痛んだ。



「美男子になるな。」


「いやいや。
あいつは自分に似ていると言っている。
まだどう化けるかわかったものじゃないぞ。」



そうは言うが、どちらに似てもいいという顔だ。



少し、いいなと思った。



別に、子どもが欲しいと思ったことはないが、そういう話を聞くと羨ましくなる。



もし、万が一にでも一緒になれたとしても、灯世に子どもを産んでくれと頼む気はない。



あんな思いはさせたくないし、きっとトラウマになっているだろう。



……そんな思いをさせない為に、自分がもう少し我慢するべきなんだろうが。



「芦多、どうした?」



千歳の声で我に返る。



向かいでは、政隆と白柄彦が話していた。



爪鷹達は爪鷹達でどこかへ歩いて行く。



「ああ、なんでもない。
悪いな。」


「いや。
体調でも悪いか?」


「いや。」



言いながら芦多は灯世を捜した。



「灯世ならあっちで捕まってるぜ?」



言われた方向を見ると、確かに。



数人の男と話しているのが見えた。



「相手に怪我は負わせないように。」



歩き出した手を掴まれ、釘を刺された。



「はいはい。」


「ったく。
精神的にもダメだぞ~。」



叫ぶ千歳の声はどこか笑っていた。