この空の彼方

「名前、いいんじゃないか?」



灯世は芦多を見上げた。



「つけてやればいい。
この子だってきっと望んでいる。」



少年は唇を引き結んでいる。



真ん丸な目が交互に芦多と灯世を見つめる。



「どんなのがいいでしょうかね?」


「うーん。」



突然振られた芦多は頭を抱えた。



灯世も悩む。



なんせ、名前とは一生ついて回るものなのだ。



「千歳も一緒に考えてくれません?」



呼ばれて、千歳は面食らったように身を引いた。



「だから、俺、コイツ嫌いなんだって…。」



灯世はちらりと芦多を見た。



芦多は大きく息を吸って、千歳を見た。



二人に見つめられ、千歳は身動く。



「駄目ですか?」


「この子も寂しいだけなんだろう。」



千歳だけでなく耶粗も気まずそうだ。



「ちくしょう、お前ら覚えとけ。」



言いつつ、二人は芦多の後ろから少年を覗き込む。



「爪鷹は?」


「悪い、俺は本気で苦手なんだ。」



爪鷹はすまなそうに両手で芦多を拝んだ。



「わかった。
悪かったな。」



爪鷹は首を傾げて笑った。



「さて、どうする。」


「うーん。」



灯世は頭をわしゃわしゃと掻く。



「わぁ、灯世の頭ぐしゃぐしゃじゃん。」



千歳が灯世の髪をすく。



灯世は照れて自分で髪を直した。



「なんかいいのないかなぁ。」



耶粗が意味もなく体を揺らす。



しばらくみんな無言だった。



「リト!」


「は?」


「リトはどうですか?」



叫んだ灯世に注目が集まる。



少年もくりくりした目で灯世を見つめた。



「字面は?」



千歳に訊かれて、灯世は芦多を見上げる。



「芦多様、どう思いますか?」



しばらく、芦多は畳に指で何かを書いていた。