この空の彼方

戸惑う灯世に耶粗が説明する。



「あ、あぁ、そうですか。」



どっとみんな笑った。



「ったく、お前の泥棒根性が恐いったら。」



爪鷹が持っていた槍で千歳を突く。



「いて"っ!
爪鷹、危ねぇだろ!」


「大丈夫、千歳は槍で刺されたくらいじゃ死なないって俺は信じてる。」


「信じんな!
ありがたくも何ともねぇ!」



きいっといきり立つ千歳を微笑みでかわし、爪鷹はクスクスと笑った。



灯世も笑いが止まらない。



回廊の柵につかまって、クスクスと笑った。



と、先の縁の下に男の子が一人、座っているのが見えた。



その子はまるで…



「辰清!?」



叫んで灯世は駆け出した。



驚いた四人は下でざわつく。



「おい、灯世?」



頭では辰清なわけがないとわかっているのに。



灯世は止まらなかった。



足袋が土で汚れるのも構わず、飛び降りるようにして、地面に降りる。



着物が地を擦るのも構わず、しゃがみこんだ。



覗くと、驚いたように見開かれた目と目が合った。



前に見た、あの琿坐の弟子だ。



「灯世。」



じゃり、と後ろに芦多が立った。



無言で肩に手を置かれる。



灯世は俯いた。



顔を見られたくない。



芦多もわかっているのか、そのまま後ろから抱き締めてくれた。



たまらず、涙が決壊する。