この空の彼方

芦多が優しく促す。



爪鷹は目をそらした。



爪鷹が収まってきたのを感じて、避難していた二人は這うようにして出てきた。



そして、保伏前進の格好で寝そべった。



「何があった?」


「……辰太郎親子に出来損ないって言われた。」



爪鷹は天井を睨んだ。



芦多達は顔を見合わせる。



「それだけ?」



耶粗が訊く。



「違うだろ。
どうせ、芦多達や俺達のことも言われたんだろ。」



千歳が爪鷹の膝に手を置く。



爪鷹は目をそらした。



それが、答えだった。



「悪かったな。」


「一人で聞くのは神経にきただろう。」



耶粗が千歳と同じように這って行って、爪鷹を励ます。



「あいつらの言うことなんか気にすることなんかないぞ?」


「お前が言っても説得力は皆無だからな。」



芦多の突っ込みに、千歳は振り返った。



「何言ってんだ。
何でもかんでも抱え込むようなお前みたいな奴が言った方が皆無中の皆無だ。」


「なんだよ、皆無中の皆無って。」



爪鷹は呆れたように笑った。



ふと、爪鷹と目が合う。



爪鷹は照れたように笑った。



もう安心だ。



「稽古、しよう。」


「え?」



唐突に言った芦多を、千歳と耶粗が振り返った。



「備えあれば憂いなし、ってね。」



爪鷹はニッと笑って立ち上がる。



芦多に悪戯に微笑み、先に立って歩いていく。



「ほら、行くぞ。」


「お、おぉ。」



遅れをとった二人は慌てて起き上がり、爪鷹を追った。