この空の彼方




***



灯世が部屋に戻ると、辰之助が不機嫌な顔で待っていた。



内心舌打ちする。



まったく、この人はどこまで子どもなんだろう。



「遅い。」


「申し訳ありません。」



頭を下げる灯世を辰之助は睨む。



「ここに座れ。」



言われた通りに座る。



話がある、と辰之助は前置いた。



「氏神様の怒りに触れた原因がわかったような気がした。」



何?



一瞬、芦多と自分のことを言われるのかと恐れたが、辰之助の口から出てきた言葉はもっと悪かった。



「世継ぎを死なせたからだ。」



胸が痛んだ。



死なせた、と言った。



責めているのか。



灯世の顔が歪む。



その灯世に、辰之助は告げた。



「もう一人、産め。」



灯世の目が見開かれる。



地獄のような日々。



芦多がいない間、辰清ができるまでのあの地獄。



毎日夜が来るのが恐かった。



毎晩のように辰之助に抱かれ…。



灯世の手が震える。



「灯世。」



肩に手がかけられた。



嫌だ…。



辰之助の手が、着物を脱がす。



「辰之助様、待って下さい。
辰清を亡くしたばかりなのに…。」



辰之助は返事をしない。



恐かった。



力でも権力でも敵わない。 



灯世にはただ抵抗することしか出来なかった。



「嫌ッ…。」



後退るも、引き倒される。



今度こそ、身体が震え出した。



嫌だ、嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ!



触らないで。



身体をよじるも、着物を剥かれる。