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灯世が部屋に戻ると、辰之助が不機嫌な顔で待っていた。
内心舌打ちする。
まったく、この人はどこまで子どもなんだろう。
「遅い。」
「申し訳ありません。」
頭を下げる灯世を辰之助は睨む。
「ここに座れ。」
言われた通りに座る。
話がある、と辰之助は前置いた。
「氏神様の怒りに触れた原因がわかったような気がした。」
何?
一瞬、芦多と自分のことを言われるのかと恐れたが、辰之助の口から出てきた言葉はもっと悪かった。
「世継ぎを死なせたからだ。」
胸が痛んだ。
死なせた、と言った。
責めているのか。
灯世の顔が歪む。
その灯世に、辰之助は告げた。
「もう一人、産め。」
灯世の目が見開かれる。
地獄のような日々。
芦多がいない間、辰清ができるまでのあの地獄。
毎日夜が来るのが恐かった。
毎晩のように辰之助に抱かれ…。
灯世の手が震える。
「灯世。」
肩に手がかけられた。
嫌だ…。
辰之助の手が、着物を脱がす。
「辰之助様、待って下さい。
辰清を亡くしたばかりなのに…。」
辰之助は返事をしない。
恐かった。
力でも権力でも敵わない。
灯世にはただ抵抗することしか出来なかった。
「嫌ッ…。」
後退るも、引き倒される。
今度こそ、身体が震え出した。
嫌だ、嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ!
触らないで。
身体をよじるも、着物を剥かれる。


