この空の彼方

それを忘れるな。



何度となく、芦多は自分に言い聞かせてきた。



自分が好きな胡桃を、辰之助が嫌いだと言った時も。



自分が嫌いな餅を、辰之助が好きだと言った時も。



自分は辰之助の型なのだ、自分を、芦多という人格を殺せと。



なのに今、『芦多』でいたいと思ってしまう。 



主の為なら、なんでもしなくてはいけないのに。