この空の彼方

「行くな、まだ話は終わっていない。」



灯世は腕を振り払おうとしたが、芦多はきつく掴んだまま放さない。



「放して!」


「放したら灯世は行くだろう。
聞け。」



灯世は睨まれ、力を抜いた。



芦多は灯世の手を引っ張って座らせる。



「毒を飲ませたのは里だが、手引きをした奴がいる。」



灯世の目が見開かれた。



「じゃあ、辰清は複数の人間に…?」


「いや?
部屋に入ってきたのは里だけだ。
だが、里に毒を渡して口説いた奴がいる。」



灯世は動揺した。



そんな、誰が…。



「房姫が、いいように里を使った。」



房姫?



灯世の脳裏に、初めて房姫を見た日が思い出される。



あの人が、私の可愛い辰清を…。



なおさら、許せない。



灯世はすっくと立ち上がった。



「灯世、待て。」



今度は灯世は素直に言うことを聞いた。



「二人のところにいくつもりか?」


「ええ。」