この空の彼方

「灯世、つらい話をしていいか?」



灯世は身構える。



辛い話と聞くと、また芦多がどこかに行くのではないかと怖くなる。



「…何ですか?」



逃げた灯世の腰を芦多が捕まえる。



「辰清の話だ。」


「はい。」



それでも腰を引く灯世を、芦多は必死で抱きとめた。



「犯人が分かった。」



途端、灯世の力が抜けた。



髪にかけていた指の間から髪が滑り落ちる。



「…犯人?」


「ああ。
…里だ。」



里…!



カッと頭に血が昇った。



あの女!



灯世はぱっと芦多から離れて部屋に上がった。



「灯世、どこへ行く。」



灯世は答えなかった。



そのまま里の部屋に向かおうとする。



が、芦多が追ってきて灯世の腕を掴んだ。



「どこへ行く?」



威圧のある声だった。



「里のところですが。」



灯世も挑戦的に答える。