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灯世はいつものように縁側に腰かけていた。
空の太陽は少し前に山の向こうに沈んだ。
今は橙色の光が空を照らしている。
ガサリ、と音がした。
振り向くと、芦多がいた。
「こんばんは。」
言葉をかけるが、芦多は返事をしなかった。
身体を嫌なものが駆け巡る。
どこかおかしい。
灯世は立ち上がって芦多に近寄った。
「何かありましたか?」
芦多は物を言わずに灯世を抱きしめた。
「どうしたんですか?」
灯世は落ち着いて、芦多の髪を触った。
芦多は黙って灯世の肩に頭を押しあてる。
「芦多様…。」
灯世は芦多の髪に指を通した。
さらり、と髪が滑る。


