この空の彼方




***



灯世はいつものように縁側に腰かけていた。



空の太陽は少し前に山の向こうに沈んだ。



今は橙色の光が空を照らしている。



ガサリ、と音がした。



振り向くと、芦多がいた。



「こんばんは。」



言葉をかけるが、芦多は返事をしなかった。



身体を嫌なものが駆け巡る。



どこかおかしい。



灯世は立ち上がって芦多に近寄った。



「何かありましたか?」



芦多は物を言わずに灯世を抱きしめた。



「どうしたんですか?」



灯世は落ち着いて、芦多の髪を触った。



芦多は黙って灯世の肩に頭を押しあてる。



「芦多様…。」



灯世は芦多の髪に指を通した。



さらり、と髪が滑る。