この空の彼方

確かに、芦多は辰之助と瓜二つで、ごく親しい者にしか見分けられなくなっている。



だが、よく似た者は他にもいるにはいるのだ。



理不尽さに腹を立て、信じてもらえなかった切なさを独り噛み締めていたとき、自分と同い年くらいの少女と出会った。



人の気配を感じ、フッと目を向けると、不思議そうに目を見張った少女と目が合った。



屋敷にいる下心丸出しの少女達とは違った目をしているその子を見て、今までの感情が一瞬吹き飛んだのを覚えている。



どうして、こんなところに、型の住まいに少女が?



無意識に芦多は少女を凝視した。



どうして?



すると慌てて少女は膝を折り、名乗った。



「大守護者八重の娘、辰之助様に仕える灯世と申します。」



ああ、いつか聞いたことがある。



力に目をつけた主が連れてきた巫女がいると。



その娘か。



見たことがなくて、当たり前だ。



まじまじと見ていると、灯世と名乗った少女は不安そうに身体を硬くしていた。



ああ、不安にさせてしまったか。



名乗ろうをしたが、ハッとして止めた。



自分は名乗ってはいけないのだ。



せめて、と思い、不自然ながら、微笑んだ。