この空の彼方

隣でいのは泣いているのに、灯世は涙が出なかった。



ただ、呆然とするだけだ。



「灯世。」



声のほうをみると、八重だった。



「母様。」



八重は今にも泣き出しそうだった。



初孫を亡くした八重は、驚くほど頼りなかった。



あまり辰清に会う機会は少なかったが、八重はよく可愛がってくれていた。



あぁ、丈には見せることが出来なかった。



ふと、丈が頭に浮かんだ。



手なんか、洗いにいかなければよかった。



一緒にいてあげればよかった。



胸が締め付けられる。



辰之助が傍にきた。



肩を抱かれる。



嫌だとも思わなかった。



何も、感じない。



空っぽだった。