この空の彼方

「芦多よ。」



政隆の声が低い。



怒られる…。



芦多は覚悟して俯いた。



ところが、政隆の言葉は予想と違い、もっと悲しいものだった。



「もういい。
稽古はしばらく休みだ。」


「………え?」



政隆?と呼ぶ声を無視して、政隆は武装をといている。



「悪かった。
怒らないでくれ。」



またもや無視。



何度か呼び掛けた時、やっと政隆は口を開いた。



「お前はここ最近、女子(オナゴ)を見つけるとすぐに注意を逸らす。」



ぐっと詰まった。



「そんな者がきちんとした稽古が出来るわけがない。」



それは怒鳴られるよりもはるかに傷ついた。



悪かった、と口から滑り出た。



「聞け。」



縁側に胡坐をかくと、政隆は芦多を見上げた。



「お前の年頃にそうなるのはわかる。
だが、稽古中くらい集中してもいいだろう。」