「いの!」


「はい、どうかいたしましたか?」


「辰清が…。」



抱かえた辰清を見せる。



「起きない…。」



え、といのが辰清の額に手をやる。



「熱があるわけでもないですね。
どうしたんでしょう。」



いのも慌てだす。



灯世はもう既に混乱して、ただ辰清を抱きしめる。



「医者にみせましょう。」


「そうですね。
灯世様、傍にいてやってくださいね。」



灯世はぶんぶんと頷いた。



いのが駆けていく。



しばらくして、息を切らせたいのと医者がやってきた。



「見せてください。」



緊迫した面持ちで、医者が辰清を預かる。



灯世は祈る思いで手渡した。