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夕方。
芦多は1人縁側に腰掛けている灯世に近寄った。
「灯世。」
灯世はゆっくりと芦多を見上げる。
「芦多様。」
「隣、いいか?」
灯世は黙って芦多の脚に頭をもたせ掛けた。
芦多はゆっくりと座る。
「昼間は悪かったな。」
「いいえ。
少し、爪鷹さんには驚きましたけど、私を思ってしてくれたことですもんね。」
「一番手っ取り早いから。」
灯世には考えられない手法だろう。
「芦多様?」
「なんだ?」
灯世は芦多に顔を見せない。
「申し訳ございません…。」
「何が?」
萎れる灯世に芦多は焦った。
何かしたか?
「…子ども、産んでしまいました。」
「灯世…。」