この空の彼方

「え?」


「見ない方がいい。」



うんうんと千歳が頷く声が聞こえた。



灯世が混乱している間にことは終わったらしい。



ぱっと手が外された。



「完了。」



パンッと爪鷹が手を叩く。



向かいではいのが泣いている。



「何を…。」


「いいのいいの、知らなくていいの。」



千歳が立ちはだかって手を振った。



芦多を見上げる。



困った顔で頭を撫でられた。



「それより一番の問題はこれからどうするかだ。」



爪鷹が芦多をみる。



芦多は難しい顔で考えこんだ。



「私が帰ってきたとわかったら、辰之助様は全力で灯世と私を引き離そうとするだろう。」


「もう耳に入ってるかも。」


「なら、また次の村に飛ばされるかもな。」



そんな、と灯世が言葉を失う。



せっかく帰ってきたのに。



やっと、一緒に暮らせないまでも同じところにいられると思ったのに。



「覚悟していたことだ。」



芦多は灯世の顔をみて、安心させるように言った。



逆に混乱した。



芦多様はどこまで予想しているのだろう。



わかっていないのは、自分だけだ…。



灯世は俯いて唇を噛んだ。



「お前、師範になれば?」



ぽんと千歳が手を打った。



「そうすればここにいられるだろ?
お前強いし、反対する理由だってない。」


「なるほどな…。」



爪鷹も顎に手を当てる。



「いけるかも。」