この空の彼方

「覚えているか?」


「はい、勿論。
…少し、驚きました。」



芦多はクスッと笑った。



「灯世は?」



灯世は芦多を見上げる。



その瞳に、吸い込まれそうになる。



灯世は芦多の頬に手を添えた。



顔を近づけると、芦多もわかったように顔を寄せた。



唇が重なる。



初めてなのに、身体が勝手に動いた。



これが本能というやつなのか。



幸せだ。



芦多の腕が、灯世を包んだ。



灯世も芦多の頬に両手を添えた。



答えるように、口付ける。



唇が離れると、灯世は言った。



「私も、世界で誰より貴方を愛しています。」


「辰清様より、辰之助様よりですか?」



ハッと、芦多と灯世は身体を離した。



振り向くと、いのが立っている。



「いの!」



ふるふると震えながら、いのは二人を睨んだ。



「何をなさっているのですか!?」