この空の彼方

芦多は灯世の頭を何度も撫でた。



そして立ち上がり、縁側に座らせる。



その間も、芦多は灯世を離さなかったし、灯世も離れようとはしなかった。



「…帰ってきたとき、灯世に会おうか会うまいか迷った。」


「どうして?」



だいぶ気分が落ち着いた灯世は芦多を見上げた。



「…灯世には新しい生活があるから。
辰清がいるだろう?」



灯世は芦多の腕の中で息をのむ。



知られた。



避けられないとは思っていたけれど、既に芦多様は知っていた。



「落ち着け。」



先を見越した芦多は灯世を制す。



「灯世は何も悪くはない。
辰清を見たが、いい子そうだ。」


「…はい、素直でいい子です。」



そうか、と芦多は呟いた。



「芦多様。」



芦多が灯世を見る気配がした。



「ずっと、信じてました。
ずっと、貴方を想っていました。」


「私もだ。
ずっと、灯世のことを考えていた。」



片時も、忘れなかった。



それが芦多もだと聞いて、安心する。