この空の彼方

しかし、怯える灯世を嘲笑うかのように、人影が動いた。



鼓動が激しくなる。



「誰ですか!?」



人影は答えず、遂に姿を表した。



それは、待ち焦がれた…



「芦多…様…?」



何年ぶりか。



芦多が目の前に立っている。



じっと、黙って灯世の前に立っている。



これは幻か。



灯世は恐々と手を伸ばした。



手が、頬に触れる。



温かかった。



「本当に、芦多様ですか?」



問いかけても、答えない。



ただ、愁いを帯びた瞳が、灯世を映す。



灯世はだんだん不安になってきた。



確かに温かかった。



なのに、何も喋らないのは、何故…?



「お願い、何か言って…。」



頬を撫でるも、芦多はただ灯世を見つめている。



と、芦多の目から涙がこぼれた。



「灯世…。」



口が、動いた。