この空の彼方

「この間とは逆ですね。」


「あぁ。
しかし、相手が辰之助様とは冷や汗が…。」



芦多はため息をついて、腰を伸ばす。



「きつかった。」



長身の芦多には確かにこたえただろう。



「私はそろそろ、帰る。」


「そうですか。
…また来て下さいね。」


「必ず。」



芦多は優しく笑って灯世の肩に手を乗せた。



「今日は来てくださって、本当に嬉しかったです。」



ただ、それを言うだけで灯世は顔が赤くなっていくのを感じた。



「こちらこそ、茶をありがとう。」



じゃあな、と芦多が出ていく。



灯世はその足を見つめて見送った。