この空の彼方

「俺らね、死は怖くないんだ。」



ふと、千歳が耳元で囁いた。



「そう教育されてきたし。
みんな、自分に自信あるし。
凄いだろ?」



君たちから見たら。



そういう響きを含んでいた。



「灯世、あいつ達を殺さないでくれよ。」



真剣な目を向けられ、灯世は息をのんだ。



今までの千歳では考えられない。


「と、ゴメン。
責任を押し付け過ぎたかな。」


「いえ、そんな。
私の務めは結界で皆を護ることですから。」



自分の力不足で他人の命を奪うのはイヤだ。



灯世は頭の中で何重にも張られた結界を思い浮かべた。



力が抜けていく。



それでも必死でイメージを実現化していく。



「灯世?」



灯世の額に汗が浮かんだ。



「お、おいッ、灯世?」



慌てて千歳は灯世を呼んだ。



「悪い、責めたわけじゃないんだ。」



目をぎゅっと瞑る。



あと、少し。



「芦多、悪い!」



千歳は先頭を歩いていた芦多に助けを求めた。



「俺、灯世に余計なこと言った!」


「何?」


「ちょっと、余計なことを…。」



芦多に詰め寄られ、千歳は同じことを繰り返す。



パンッと音がして、結界がはぜた。



出来た…。



ふっと力が抜けた。



膝が折れる。



「うああっ、灯世ォ!」



千歳を含め、青年達は悲鳴を上げて灯世に駆け寄った。



「大丈夫か?」


「はいぃぃ。」



へなへなと起き上がる。



「半分達成感ですから。」



千歳の表情がいくらか緩んだ。



「まったく。
俺のせいかと思ってどんだけ焦ったか…。」


「すみません。」



照れて頭を書く。