猫のギター使い

「オン?何言ってるの?」


「…え?何も言ってないよ。ママ、帰ろうよ」


「猫はいいの?名前つけたんじゃないの?」


「つけてないよ?知らないよ」



リンの瞳には涙が滲む。


―お前なのか、オンなのか―



俺のことをまだ親友だと、
そう思ってくれているのか―



リンに熱いものがこみ上げる。




「じゃあね、猫さん」


さっき俺の名前を呼んでくれたのは、何だったんだろうか。



一瞬、オンの意識が戻ったのか―


もうどうでも良かった。




俺も2人と反対側の道を歩き出す。



「またな、親友」



またいつか。



きっと。