電子音と共に駅構内にアナウンスが流れる。

電車のライトがホームを照らした。


下りの電車がホームに滑り込んでくる。


深緑色の車体を特に感慨もなく眺めていると

急に鳩尾のあたりが

キュン、と締め付けられる感じがした。



……せつない ?


……じゃ ない か



…たりない。


あいたい はやく



何の前触れもなく

呼吸が苦しくなってくる。



挿れて

冬夜がほしい


――したい――



これから冬夜に会えると思うと

ついそのことを考えてしまう。


唾が喉を通過する音が

やけに生々しく耳の奥に響く。


まだ冬夜の家まであと

ニ十分ぐらいはかかるのに――…


すでに渚の下半身は軽く熱を帯びていた。