しばらくの間をあけて人影は答えた。


「ふむ、邪魔になるようなら消せ。操れるようならお前の好きにするがいい…。
他の者は知っておるのか?」


その問いかけに、鵺はゆっくり頭を左右に振った。


「いいえ…まだ言ってはおりませぬ。」


「そうか…やり方はお前に任せる。好きな奴を連れていくがいい。」


人影はそこで会話を打ち切った。

鵺は一つ頷くと、人影に背を向けて歩きだした。



次第に姿を消していく鵺を眺めた後、人影は呟いた。


「無能めが…神楽一族は一人に一体の妖が憑いていることは教えたはずだ。
では、神楽 透本人に憑いている妖は何なのだ?
それに気づかねばあやつも下手を打つな…クックック。」


ひとしきり笑った後、再びその場所は沈黙の支配する場所に戻っていった。